私たちの活動について
一般社団法人 西宮青年会議所

理事長所信

 
第74代理事長 熊谷 悟

RUNNER

~挑戦し続ける組織~

はじめに

 西宮青年会議所は創始の想いを受け継ぎ、74年の歴史を紡いできました。先輩諸氏がその年々の社会課題と向き合い、より良い未来を獲得するために尽力されてきた、その未来を私たちは今生きています。現役たる私たち会員一人ひとりがその歴史の重みを理解して、先人たちがそうであったように、私たちも自らの手で眼前に広がる数多の社会課題を解決し道を切り開きながら、市民が幸せに暮らせる西宮の未来を築いていかねばなりません。日本社会を取り巻く少子高齢化という深刻な課題は30年以上前、私が物心つく前からニュースとなっており、一種の閉塞感が感じられます。私たちの事業や例会の構築における背景においても長らく少子高齢化に端を発する社会課題が設定されることが多いですが、西宮は市外からの流入人口が流出を超え、世帯数増加を続けていることにも目を向け、移住してくる人にとって定住志向が高まる方法を模索するなど西宮というまちの可能性を高めてくこともできるのではないでしょうか。青少年教育においてはネガティブな面を取り上げられやすい技術革新や通信の発達もポジティブな影響に注目して積極的に取り込み、変化を恐れず挑戦するまちへ歩みを進める働きかけを考えていけるのではないでしょうか。社会により良い変化を生み出す変革を運動として起こすことに率先して挑戦する、と私たちはJC宣言の中で謳っています。20歳から40歳という年齢制限こそが青年会議所の大きな特性であり、さらにバックグラウンドの違う多様な人財で構成される西宮青年会議所はイノベーションの可能性にあふれているからこそ、常に若々しい組織として青年らしい情熱をもって変革のために果敢な行動力を発揮し続けることができるはずです。戦後まもなく、日本の再建という大きな目的に向かって走りはじめ、今に至るまで地域を取り巻く社会課題の解決に向かって走り続けてきた西宮青年会議所。いま私たちがかけている襷は時代を跨ぎ継承されてきたものです。誰もが自己実現を果たせるまち、その未来に向け、若きエネルギーを燃やし走りだしましょう。

会員拡大

 運動を起こそうと走りだす一歩目は常に、同じ志をもった仲間作りから始まります。あなたの身近にいる愛すべき会員は当たり前に同志としてあなたと活動を共にしていますが、すべての会員は誰かがその人に対して西宮青年会議所の運動の紹介をし、理念への共感、そして入会の決断をしてもらっています。その誰かのおかげで、西宮青年会議所があなたにとって素晴らしい場所になっているということを忘れてはいけません。入会した当初と比べ、私はまちの未来のために考え、また行動する機会が格段に多くなりました。まちのために尽力をされる先輩や仲間の背中を見て、自分もまちの未来をつくる当事者なんだという意識が自然と醸成されてきたからです。同志を増やすことは、私がそうであったようにまちづくりの当事者として行動に移すところまで意識を変革する人を創るということであり、より良いまちの未来を創る最大の運動だと考えています。
 西宮青年会議所は「全体拡大」を掲げながら拡大の仕組みを洗練させ、一定の成功を収めてきましたが、今後もより多くの人に西宮青年会議所の魅力が伝えられる仕組みを研究、実践し続ける必要があります。一人ひとりがやりがいをもって楽しみながら西宮青年会議所での活動を行い、さらにまちをより良くしようと運動に込めた想いを伝えていくことが運動の輪を広げていくことになります。自分たちの所属する組織を誇れるでしょうか。自分たちの組織の魅力を伝えられるでしょうか。西宮青年会議所では同じ志を持つものが集まって自分以外の誰かのために運動をし続け、成長しています。そんな自分、そんな仲間、自慢してもいいんじゃないかなと思います。そう思える組織には人が自然と集まってきます。西宮青年会議所は異業種交流会を定期的に開催し、多様な個性と価値観をもつ人々との交流の輪を広げています。青年会議所内には同じ趣味趣向を共有する会員同士での様々な集まりもありますが、いずれの場においても新たな出会いを喜び、私たちと共に切磋琢磨したいと思ってくれる人財との出会いを生むことができます。4月までに25名の新たな同志の迎え入れを達成し、その後においても理念の共感を広げ、しっかりと拡大運動の襷を引き継いでいくため年度内に10名の入会希望者を確保します。

会員の育成研修

 私たちは自分以外の誰かのために走り続けるなかで自身の社会的な責任を自覚し、各々が変化に対し果敢に挑戦するリーダーへと成長します。青年会議所活動や運動の最大の魅力の一つは活動や運動を展開する中で得られる学びにあります。より良い社会を実現するため、同じ理念を共有する同志と共に、切磋琢磨しながら多様な体験をし得られる学びはJCでしか得られない貴重なものです。2015年に入会した当時、私は西宮に引っ越してきたばかり、開業したばかりで人脈の形成や仕事の成功など自分のことを中心に考えていました。青年会議所で活動を続ける中で、まちのために奔走する先輩や同期の姿を見、事業や例会について計画をする上で時に仲間と主張をぶつけ、自分が携わった事業が終わったときの感動をみんなと共有したりと、多様な機会に参加するなかで得られた心を動かされる多くの経験から、自ずと利他の精神が養われ、気が付けば、まちの未来をより良いものにするために自分が何をすべきかということを真剣に考えるようになっていました。新会員をはじめとする会員一人ひとりが、出会うすべての人へ敬意をもち、自身のあらゆる経験を学びと変えていけるような青年会議所生活を過ごしてほしいと願っています。
 比較的平和な現代の日本にあっても、コロナ禍に見舞われ、多くの自然災害が起こり、世界情勢の混乱、それに起因する原油・資材の高騰など経済的な先行き不安も拭えません。いつの時代も、未来のことはわかりません。それでも明日のため現状を打破しようとするものがリーダーではないでしょうか。リーダーシップは変化に対処する能力であり、リーダーは変化に適応しようとする実践者です。西宮青年会議所はメンバーの多様な個性が活き活きと協和していますが、それぞれ役割は違えど当事者意識をもって地域課題に取り組むことですべての会員にリーダーの能力を身に着ける機会があります。実践を伴う体験型の学び舎としてリーダーシップの開発の機会を会員に提供し続けます。

まちづくり

 西宮は自然・文化・歴史・居住環境・学校施設・交通インフラが高い次元で融合され、立地の良さもあり関西でも有数の住みたいまちとなっています。また大阪・関西万博、大阪IR計画、神戸空港の国際化、今後関西には国内外から多くの観光客が見込まれ、これらは課題解決に向けた地域の人々の取り組みを発信して人の流れを作り地域の誇りへとつなぐ契機となっています。地域の認知が高まることは市民にとっての誇りや豊かさにつながり、まちの価値を高めます。ふるさと西宮を共有できる感覚は大人になってから西宮に来た私にはありません。西宮青年会議所で出会った仲間のうち、西宮で生まれ、育った方の話を聞いていると、西宮での思い出があふれており、家族や友人、先輩後輩といった人間関係が西宮に多くあり、うらやましくなったものです。幸い、私は西宮青年会議所活動のなかで、地域について調査研究し、西宮の魅力に積極的にアプローチする機会があったので、西宮愛は地元で生まれ育った方々にも劣らないという自負ができるほどになりましたが、西宮市は人口減少期に入ったものの、市外からの転入者が多く社会増加を続けており、私のように外部から移住してきた人間にも、利便性の高さ以上の地域の魅力を伝え愛着を持ってもらう必要があります。まちに愛着を持ち市民自身がこのまちを構成する一員としてここをより良いものにするために関わっているという誇り、シビックプライドが自然と高まるまちを実現するため、市民も参画に巻き込んで、共にまちづくりを行っていくことが重要です。そのきっかけづくりは若い情熱を持ち、個性溢れる会員の揃った西宮青年会議所が率先して行っていく必要があります。次代の担い手である若者がまちに対する思いを深め、愛着、誇り、共感をもってまちの当事者としてまちづくりに参画しなければ社会は続きません。地域から求められる組織であるために、地域のシビックプライドを高めることを真剣に考え続け、先導し走り続けます。

青少年

 少子高齢化、個人主義の浸透、情報通信の急速な発達により市民の生活様式は変化をし続けています。小学校6年生のスマートフォン所持率は半数を超えており、青少年を取り巻く環境は私たちが過ごしてきた時代とは大きく様変わりしています。スマートフォンとともに育ち、SNSで発信することが当たり前で、デジタルネイティブと言われる世代が今まさに社会に飛び込み、活躍の幅を広げています。課題の問さえあればAIが答えを出してくれる時代になっていくなかで、今後は与えられた課題をいかに解くか、という能力ばかりではなく、どのように問いを立てるかという能力が必要となってきます。社会の変革の起点たらんとする私たちの運動構築にあたり、大人の常識を当たり前とせずに自身の感性に従って行動する青少年から得られる示唆が多くあり、私たちは積極的に青少年からも学びを得る必要があります。
 グローバル化、ICT、IoTの普及、ビッグデータやAIの活用など技術革新が進み、社会や生活を大きく変えていく未来に進むなかで、いま世の中にある多くの仕事も変化を余儀なくされます。いま存在していないような職業も生まれてくるでしょう。西宮青年会議所には様々なキャリアをバックグラウンドに持つ多様な人財に恵まれており、青少年のキャリア意識の形成にとって私たちの経験談や職業倫理は、大いに青少年の選択に良い影響を与えられるものだと考えます。青少年が西宮への関心を高め、豊かな人間性を育み品格ある青年へと成長するための一助を、私たちは地域の大人として、人生の先輩として担う責務があります。青少年が未来に希望をもち自己実現を図ることができるよう、体験とその経験に裏付けられた判断力を養う機会の提供が私たちにはできます。私たちの後を続く世代にも明るい豊かな社会への希望を鼓舞しながら走り続けます。

国際

 皆様は青年会議所に入会して国際の機会を十分享受できているでしょうか。ASPAC、国際姉妹青年会議所であるJCIクアラルンプール及びJCIドラゴンとの交流、世界大会など、西宮青年会議所には世界に広がるネットワークを体感できる機会が多くあります。海外でもスマートフォンでインターネットが気軽に使え、SNSでの交流や翻訳アプリの精度の向上で海外とのコミュニケーションが容易になっているなど、通信技術の発達により国外で活動することのハードルが大きく下がっています。国際の機会において、国外のJCメンバーとただ表面的な言葉を交わすだけでなく、国は違えど地域の社会課題に取り組む青年会議所の同志として、それぞれの地域課題がどんなものがあり、またどのように取り組んでいるか、組織の運営はどういう風に行われているか、意見を交換し、交流を深めることで大きな視野で私たち自身の地域や活動を見つめなおすことができるのではないでしょうか。西宮には海外に誇るべき素晴らしい文化・歴史・産業が多くあり、それらを紹介することで西宮への理解を高めることも必要です。国際交流の機会の中で日本社会を改めて見直し得た広い視野をもって変化を恐れない地域とするため走り続けます。

交流

 西宮青年会議所には様々な機会がありますが、交流そのものを目的とした機会はあまり多くありません。同期入会はさることながら、委員会が同じであったり、出向先で同じだったり、同じ目標に向かって活動を共にすると強力な絆が生まれることを私自身も体験してきました。ただ同じ枠組みで活動したことがなければ、あまり話したことがないメンバーがいたり、人となりを知らないメンバーがいたりすることも事実です。組織の潤滑油として、入会歴を問わず、自ら望んで参加できるような、役回りに捉われない横断的な活動を共にすることで自然と交流が生まれる仕組みを作り、組織を構成する誰もが認知され、また受け入れられる組織とします。私たち青年会議所には縁の深いLOMが国内外に様々ありますが、中でも、国内姉妹青年会議所であるJCI函館、JCI浪江、JCI南双葉とのお互いに切磋琢磨しあえる交流は時代を超え続いてきた貴重なもので、灯火を絶やさず次代につなげていくために、同じ体験を共有し友情を深める機会を作ります。困難な社会課題の解決に立ち向かう中でも交流があればこそ一致団結して楽しく走り続けることができます。

広報事務

 西宮青年会議所の運動をより効果的なものとするために多くの共感を集められるようブランディングに取り組まなければなりません。人々の気持ちを動かし、共感を得て運動になっていくことを考えると、真剣にまちの未来のために事業や例会を構築する会員の想いをより直接的に届ける必要があります。西宮青年会議所の魅力はなにか、という問いに私たちは即時に自信をもって答えられるでしょうか。西宮青年会議所に所属をし続けるという選択をしたときに各々がなにかしらの答えを見つけているはずです。それを言語化し、想いをのせて人に伝えることができれば人の心を動かし、共感を生みます。各人が西宮青年会議所の顔であり、広告塔なのです。西宮青年会議所のブランドは会員一人ひとりがより良いまちの未来に向かって挑戦を続けるRUNNERであることだと私自身は考えています。このブランドの確立は私たちの運動を応援してくれる市民の拡大につながり、共感の輪を広げ運動を大きくします。応援者がいてこそ私たちは未来に向け走り続けることができます。

総務

 総務委員会は組織の背骨として俯瞰的な視点で会議の運営、コンプライアンス順守を司っていますが、時代の様相は刻々と変化を続けているため柔軟な規則の見直しが必要です。希望をもたらす変革の起点として運動を展開していく組織であり続けるには、要たる総務委員会が勇気を持って変えるべきを変える挑戦意識をもっておく必要があります。枠にとらわれない発想をして、テレビが四角である必然性を疑う勇気をもち必要なら丸くしてみることを検討すべきです。
 新春賀会は多くの来賓を招き、私たちの運動への共感を訴え、協働の関係性を強化するのに絶好の場です。阪神7青年会議所の各LOMとは強い絆で結ばれており、出向した際に阪神7青年会議所のメンバーと出会うとそれだけで安心感があることに気付きます。本年は西宮青年会議所の主管となりますので、例会構築はもちろん、阪神7青年会議所での活動全体において、リーダーシップを発揮し、協力関係を築きながら主体的に友情の輪を広げ、互助の関係性を深める好機です。私たちは一人で走り続ける必要はありません。伴走してくれる強力な同志を助け、また助けられて走り続けます。

結びに

 私たち西宮青年会議所は地域課題の解決に向けて一途に走り続けるフロントランナーです。それだけではなく、そのエネルギーは自然と自己の能力開発にもつながっています。入会して10年近く、青年会議所活動に向き合ってきた中で心より思うことですが、西宮青年会議所は自己実現の場として最適な組織です。毎年違う役割を担いましたが、どの年も私は個性をそのままに自分の能力を発揮して他者に受け入れられていると感じられました。また、自己成長の場として最適な組織です。いつも少しの覚悟があれば、背伸びをして自分の能力の限界をちょっと更新することができました。
 自分のために入会した。でも気づいたらいつの間にか自分以外の人のために一生懸命になっていた。西宮青年会議所はまちのために誰よりも一生懸命走っている。だから誰よりも楽しい。
 このまちが西宮青年会議所みたいだったらいいのに。みんながありのままで能力を発揮して、自己実現に挑戦して成長し、自分以外の誰かのために一生懸命で楽しいまち。そんな西宮の未来を思い描きながら、走りましょう。

RUNNER
~挑戦し続ける組織~