一般社団法人 西宮青年会議所

理事長所信

第68代理事長 森本邦裕

 

 BeProud

~関心と関わりが組織とまちを変える~

我がまち西宮は素晴らしいまちです。自然にあふれ、市民がスポーツや文化活動を楽しめる環境が整っています。子供達の声も街中に響き、多くの若者がこの西宮でさらに学びを深めるべく大学に通っています。大阪、神戸、京都といった都市圏への交通網も整備されており、西宮はまさに住居を構えるには最適なまちです。

では、その素晴らしい西宮に対して私達はどのような気持ちを抱いているでしょうか。西宮市は「にしのみや住宅マスタープラン」を平成14年に策定し、その後平成28年に改訂していますが、その中で「一人ひとりが愛着と誇りを持ち、支え合いを実感できる住まいづくり」を理念に掲げています。このマスタープランは文教住宅都市にふさわしい住環境をつくっていくための計画ですが、私はその中で、「愛着と誇りを持ち」という部分に注目しています。市民がまちに「誇りを持つ」ということはどういう状態なのでしょうか。またそれはどのようにして実現されるのでしょうか。ただ環境が整っていて便利だと感じるだけで「誇り」といった強い感情は生まれるのでしょうか。

私はこの西宮で高校卒業まで育った後、約6年に渡り海外で学び、仕事をする機会をいただきましたが、その多くを過ごした米国では、自分の住むまちや国を誇りに思う、とストレートに表現する人と多く出会いました。表現方法に国民性の差こそあれ、そこに「誇り」という感情が存在していることは間違いありません。そもそも私達日本人は「誇りを持つ」という言葉をあまり使いませんが、あえて私は今年一年この言葉を用い、自分達が住むまちに対して強い想いを持とうということを皆さんに訴えたいのです。

「誇りを持つ」とは、その対象のものに強い愛着を持ち、名誉に思う」気持ちです。ノーベル平和賞を受賞した作家エリ・ヴィーゼルの「愛の反対は無関心である」という言葉にもあるように、強い感情が何かに対して生まれるには、まずそのものに対する関心と関わりを持たなければいけません。しかし、私達が持つ西宮のまちに対する関心や関わりはまだまだ十分でないのと同時に、「私は西宮のまちに誇りを持っている」と言える人もそう多くないというのが現状です。

西宮市の市政や行政、歴史や文化といったものに対しての関心が強い人の数は決して多くありません。低い選挙の投票率、少ない市民活動への参画、希薄になる地域コミュニティの繋がり、各家庭や学校任せが顕著な子育てや教育、といったまちの現状は、関わりの不十分さを露呈しています。このような無関心と言える状況を変えていかなければ、まちに対しての誇りという強い気持ちは生まれません。

まちに誇りを持つ人とは、常に自ら住むまちのことを想い、行動する人です。私達西宮青年会議所は明るい豊かな社会を西宮で実現することを目指し、67年の長きに渡りまちづくり運動を展開してきました。まさに私達こそ、まちに誇りを持つという感情を体現できるロールモデルになることができるのではないでしょうか。今年も1年間、市民の皆さんが誇りを持てるまちを目指して私達の歩みを進めていきましょう。

●拡大活動

まちづくり運動を展開し想いを伝えていくために、その効果を強く大きくする一番の方法は、私達青年会議所自身の会員を拡大し、同志を増やすことです。私達の想いと運動に心から賛同し、活動を共にする会員が増えれば、まず私達の力が増し活動の規模も増します。今年も引き続き多くの同志を迎え入れることを最優先に、そしてすべての根底に据えて活動しましょう。

今年の拡大活動は特に多様性という言葉を念頭に置いて展開します。現代は様々な場面で多様な価値観を持つ他者と協力し、課題を解決し結果を出していかなければいけない時代です。人口49万人の西宮のまちにも顕在的・潜在的どちらの面でも多様性が存在します。その西宮で、市民を先駆けて明るい豊かな社会を目指す青年会議所として、また私達青年会議所会員自身が世界のどのような時代や場所でも活躍できる人材に成長するためにも、組織の中に多様性を積極的に取り入れていきます。

一番わかりやすい例は女性会員の拡大です。国全体でもまだ道半ばとは言え、女性の社会進出とともに女性経営者や女性起業家の方々も増えています。また様々な事業構築においても女性の視点を取り込み、社会のニーズにより的確に対応することも不可欠です。そして何よりも、青年会議所が男性も女性も生き生きと活躍できる組織となり、理想的な社会の縮図となることで私達の組織の価値もさらに増していくものと考えるからです。まずは西宮青年会議所が、私達自身が誇りを持てる組織となるために、私達の理念に共感し活動を共にできる女性も多く仲間に加え、西宮の、そしてこの国の多様な価値観に対応できる組織改革と事業構築に繋げます。

●広報活動

企業活動においてそうであるように市民活動においても、効果的な広報は不可欠です。広報活動は様々な活動に相乗効果をもたらします。私達の理念や活動の魅力が効果的に伝わらなければ、拡大活動にも機会ロスが生じます。どれだけ良い事業を構築しても、その内容が上手く伝わらなければ多くの市民の賛同や参加を得られません。受け手の事情を理解し、必要とされる情報を必要とされる量、タイミング、ツールで届けなければいけません。

近年インターネットを活用した新しいメディアが多く生まれています。西宮青年会議所でもそれらを活用しようと努めていますが、まだまだその質・量ともに十分ではありません。また、新しいメディアに頼るだけでもいけません。メディアはあくまでツールであり、そのツールが結びつけるのは人間と人間です。人間と人間とのコミュニケーションには、熱い気持ちや優しい心遣い、笑顔や真摯な姿が欠かせません。そういった普遍的な価値観も大切にしながら、効果的な方法を取捨選択し私達のメッセージを伝えていきます。

私達の想いや活動や運動を伝えるという点でもう一つ重要視するのは、私達の活動や運動をより市民の皆さんに開かれたものにしていくということです。その時その時の時代背景に即し、まちに住む市民の皆さんの意識と行動を変革することを目的とする各事業はもちろんのこと、月に一度の例会も広く市民の皆さんに開かれたものにします。会員に成長の機会を提供するというこれまで私達が大切にしてきた例会本来の価値も継続して重んじながら、その学びの機会を広く市民の皆さんも対象としたものに広げ共に学んでいきます。

●組織改革

拡大活動で同志を増やし、広報活動で魅力を伝える。それらと並行して、自らの価値を高め続けることも絶え間なく行っていく必要があります。その核となる活動が、組織改革、研修、交流の3つです。

昨今政府主導で「働き方改革」が進められています。青年会議所も改めて私達の活動の仕方を見つめ直し、青年会議所活動と仕事や家庭生活などとのバランスが理想的な状態になっているのか、言うならば、私達の活動の仕方が適当かどうか、自らに改めて問うていきます。そして、守るべきところを守るために、変えるところは変えるという改革を実行していきます。

もちろんすべてのことが変化を必要としているわけではありません。今年68年目を迎える西宮青年会議所ですが、これからも脈々と引き継いでいくべき長い歴史と力強い伝統があり、その歴史と伝統の中で培われてきた制度と習慣があります。これらを大切にしないと、私達西宮青年会議所のアイデンティティが失われてしまいます。今年は「奉仕」「修練」「友情」という私達の信条は守りつつ、その歴史と伝統を先輩方から伝え聞く機会も効果的に設けながら、守るべきところと変えるべきところを冷静に判断し、時代の変化に慎重かつ大胆に対応していきます。それが実現されれば、変化の激しい現代においてこれから5年10年20年と時が経つ中でも、それぞれの時代の青年達がまちのために生き生きと活躍できる組織の礎ができると信じています。

また前述のように女性会員の拡大を進める中においては、女性会員の活躍を妨げる組織ではいけません。これまでは男性中心の会員構成だっただけに、組織の慣習が男性中心になっていることも否めません。国民一人ひとりが活躍し幸せな生活を実現するための「働き方改革」。私達西宮青年会議所も様々な多様性を持つ会員一人ひとりが活躍し、青年会議所や各々の仕事、そして家族や友人達を巻き込みながら、心身共に健康で幸せな人生を実現できるための「活動の仕方改革」に取り組んで参ります。

●研修

このまちに対して私達がロールモデルとして効果的にメッセージを発信し続けるためには、私達会員一人ひとりが、一社会人、一ビジネスパーソン、そして一家族人として、現状に満足せず、啓発と研鑽を積み続ける必要もあります。

近年、入会してからまだ月日の浅い会員の比率が高くなる傾向は止まりません。その結果、知識や経験の蓄積が充分に行われず、以前であれば当たり前に皆で共有できていたことが共有されていない、私達青年会議所は何を目的とした団体か、その目的の達成のために一人ひとりの会員が何をするべきか、といった根本的な事柄でさえも知っている者と知らない者がいる、という事態が頻発しています。強い組織にまず必要なことは、その組織の存在意義や目的、理念といったことから最低限の行動規範、そして物事を組織で進めていく上での共通のルーティーンを明確に共有することです。改めて基本に立ち返り、青年会議所として、まちのロールモデルとなることを目標に、私達の運動を展開する上で必要な知識や経験の共有を、種々の研修活動を通じて図ります。

●交流

明るい豊かな社会を実現するという理念のもとに私達が住むまちに対して行動を起こすという一面とともに、青年会議所は活動を共にすることで会員同士が新たな友情を育み、共に自己成長を遂げる場になるという役割も果たしています。また西宮青年会議所内での友情に留まらず、各地の青年会議所や遠く離れた国内外の姉妹青年会議所との交流活動も私達に多くの自己成長の機会を与えてくれます。

しかし、交流という言葉が独り歩きし、ただ仲良くなるということに終始し、組織自体の目的を達成するために交流活動があるということを忘れてはいけません。私達が青年会議所活動に時間と労力を使う選択をする裏返しは、その他の事を選択していないということです。ですから、常に私達はその目的を心に置き、活動を支えてくれている家族や職場の方々に感謝の気持ちを忘れず、様々な会員交流活動を行っていきましょう。それがなければ「活動の仕方改革」も机上の空論で終わってしまいます。

また今年度は各委員会の職務等を基に、複数の委員会をまとめるグループという仕組みを組織に取り入れています。グループ担当の副理事長を中心にそれぞれの役職の期待役割を理解し、「奉仕」「修練」「友情」の三信条に基づいた繋がりを例年以上に強めながら一致団結し、私達西宮青年会議所の理念の実現に邁進していきましょう。

●まちづくり

私達西宮青年会議所は毎年様々なまちづくり運動を行ってきましたが、市民がまちに対して誇りを持てるようになるために、今年のまちづくり運動は「人づくり」に焦点を当てます。

すでに恵まれたインフラ環境が整っている西宮のまちに、市民の高い関心と関わりが合わされば、どのようなまちになるでしょうか。私が描く理想的なまちは、西宮の立地や自然などの環境とバランスのとれた理想的な水準で人口は推移し、その市民一人ひとりが責任を持って投票活動等を通して市政に参加することで、明るくわかりやすい政治や行政が展開され、私達青年会議所のような地域団体への参画者も増え、それぞれの団体がそれぞれの分野でその専門性をいかんなく発揮し活動する。そして、子供達が家庭内や学校だけでなく、地域の中で活発に遊びそして学ぶことで地域の人達とも交流し、親や教師だけでなく地域全体によって伸び伸びと育っていく。西宮にある高等教育機関で学ぶ学生達の研究活動は、地元にも充分に還元され、公民学の連携が様々な社会問題の解決を推進する。文化施設やスポーツ施設は、市民が使いやすい形態で運営され活発な賑わいを見せている。国の内外からの多くの旅行者がまちを訪れることで、まちの至る所で異文化交流が行われ、受け入れる市民も経済的効果をはじめとして多くのメリットを得る。

そのような理想的なまちを創っていくために、私達市民ができることは多種多様ですが、やはりまずはそれに対する強い関心と関わりがないと、実現できないのです。今年私達西宮青年会議所は、まずそういったまちづくりにより多くの市民が関心と関わりを持てるように、意識を喚起し、方法論を学ぶような「人づくり」事業を実施します。そうすることで、より多くの市民が理想のまちを目指して行動を起こすようになれば、西宮のまち全体によりよい未来がやってくることは間違いありません。

●青少年

まちづくりに市民が強い関心と関わりを持ち、またそれが中長期スパンで持続するためには、将来を担う子供達にも同じ想いを持ってもらうことも必要です。ある特定の世代が短期的に活動するだけではそのまちの魅力は持続されません。一人ひとりの市民がまちに対しての強い関心と関わりを持つことによって、誇りを持てるまちが実現することを次の時代を担う今の子供達にも伝えていきましょう。

学校ではそれぞれの年代に合わせた社会科という授業があります。学習指導要領等の社会科授業の在り方には、社会科授業は社会に対する理解を深め、種々の社会問題に対して自ら判断し社会に参画して行動する基礎を養うために行うといった記載がありますが、本来子供達は学校のみならず、家庭、そして地域社会の三者から様々な学びを得る中で成長するのが理想です。その状態が一昔前は当たり前のように存在していましたが、現代はどうでしょうか。振り返れば、個人差や地域差こそあれ、私の世代が実際そのような環境で育つことができた最後の世代だったのではないかとも考えます。

核家族化や地域社会の関係の希薄化が叫ばれる現代においては改めて、学校で先生や教科書から教わることとはまた違った知識や視点、体験の機会を子供達に提供するということが必要であり、地域の大人達、まさに私達青年会議所のような団体にこそ、その役割が求められています。西宮に住む市民が継続的にまちに強い関わりと関心を持ち、未来の責任世代である若い市民にもまちに対する誇りが備わるように、私達青年会議所が、既存の教育現場の皆さんと協力し補完し合うような事業を実施し、理想のまちづくりの一翼を担いましょう。

●国際

青年会議所には私達の強みと言える様々な資源と可能性がありますが、そのうちの一つに国際的なネットワークがあります。これまで長きに渡り西宮青年会議所は国際姉妹青年会議所の会員たちと友情を深めてきました。また、姉妹青年会議所との交流のみならず、青年会議所会員が参加できる種々の国際大会が存在し、それらを通じて世界の国々から来る会員達と交流する機会に恵まれています。この国際交流は、私達西宮青年会議所会員に、時に新たなビジネスを生み、また時にかけがえのない友人をもたらしてきました。その無形の資源を今年は会員だけで享受するのではなく、広く市民の皆さんに門戸を開き、西宮青年会議所がきっかけになり、市民の皆さんと共に国際交流を通じてより自らのまちに関心や関わりを強めるための事業を行います。

自分自身を顧みるには、他者を知り相対的・客観的に自身を見つめることが必要です。まちや国についても同様に、他の地域や他国を知らなければ自分のまちや自国が抱える魅力や改善点を知り尽くすことはできません。青年会議所はまちづくりをする団体であり、西宮青年会議所のすべての活動は西宮のまちをより理想に近づけることに帰結します。国際活動においても根底には西宮のまちへの想いを持ち、他国と交流することでより多様な価値観や社会の現状を学び、その新たな知識と経験を西宮のまちづくりに活かしていきましょう。

●最後に

私は30歳を少し過ぎたころに西宮青年会議所に入会しました。青年会議所は、まちや国の

過去を学び、現在を考え、未来を見据え、まちのために国のために何ができるのか、ということを真剣に考え活動しています。そして会員一人ひとりが、「恒久不変な世界平和の確立」や「明るい豊かな社会を築く」といった崇高な理想の実現に寄与するために、個々の成長を図りながら、様々な活動や運動を行っています。

しかし、そのような素晴らしい団体に所属させていただきながら、私はその魅力を十分に感じることができずに、まちへの誇りという言葉などは程遠く、自分が所属する団体への愛着や誇りさえ持てない時期もありました。しかし、そのような中でも多くの先輩方と同期入会の親友達、そして年々増えていく後輩の皆さんと活動を共にする中で、色々な担いを通して学び気づく機会をいただくことで、青年会議所に対する関心と関わりが年々強くなっていきました。そして、2018年度は第68代理事長という身に余る大役を拝命することとなりました。

人は変化し、成長することができます。今はまだ関心や関わりも薄く、誇りを持てないでいても、そこに変化の可能性は必ずあります。まずは私達自身が私達の活動に、そして西宮青年会議所という組織に、強い関心と絶え間ない関わりを持ち、誇りを持って活動していきましょう。この西宮のまちの魅力に負けず劣らず、この西宮青年会議所も素晴らしい組織です。40歳までという有限の時間の中で多くの仲間と切磋琢磨し、まちのために活動する中で、様々な自己成長の機会が溢れています。ここまで熱く、濃く活動し、自己を成長させられる団体は他にはありません。この団体で、40歳を迎える年に理事長という職をお預かりする今では、私は西宮青年会議所に誇りを持っていると胸を張って言えます。

自分達が住むまちに対する関心や関わりが薄く、主体的なまちづくりへの参画はおろか、選挙での投票といった行動まで十分に行われていない現状において、少なくない自己犠牲も厭わず、時間や労力といった自らの資源を奉仕し、明るい豊かな社会の実現という理想に向かって活動を続ける私達青年会議所だからこそ、市民が誇りを持てるまちを創っていくためにできることがあります。

会員の皆さん、今年一年を通して、まず私達自身が率先してこのまちのために活動していきながら、多くの市民の皆さんと共に、まちに対する関心と関わりを持ち活動する姿を見せていきましょう。そうすれば、必ずや市民の皆さんの賛同を得て、運動はさらに大きくなり、理想が実現する日がやってきます。

Be proud. 

誇りを持とう

Be proud of ourselves. 

Be proud of our organization. 

Be proud of our city.

私達自身に

私達の組織に

そして私達のまちに