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一般社団法人 西宮青年会議所

企業・組織が変わっていくこと。未来を見つめる視点と本質。ー2月度例会講演抜粋

2月度例会では、未来の住職塾塾長、松本紹圭様にお越しいただき、組織と変わっていくことの本質についてお話いただきました。「道心の中に衣食あり、衣食の中に道心なし」。講演の抜粋をご覧ください。

変えようという第一歩

—–仏教、お寺、僧侶とそれぞれイメージを聞くと、大体最後が一番悪いんですね。
それで、私としてはまずはお寺に来てもらうこと、と思い「お寺カフェ『神谷町オープンテラス』」という取り組みを始めたんです。経営の基本だと思うんですけど、素早く第一歩を踏み出したわけですね。で、これは大変ご好評いただいて、たくさんの方にお寺に触れる機会を持っていただけるようになりました。

ところが、自分一人でやっていても「イメージを変える」というところまでは至らない。ですので、もっと大きな影響をと思い、業界全体を変えるような取り組みを始めたわけです。でも、何が一番難しかったかというと、歴史ある団体ほど過去の事例が積み重なっていて、それを変えていくのが難しいんですね。私が今日この講演に講師として呼ばれている理由でもあると思うんですが、仏教界という、何と比べても歴史ある業界なわけですから、それは難しい。

何せ縦割りが厳しい業界で当然ながら他の宗派との情報共有なんて、なかなかできていない。でも、横串を刺して、いかに知恵や知識を共有していくかが大事だと思うんです。

なぜ変わっていくことが必要なのか

—–私達が把握しておかなければいけないのは、社会の変化で、今の世界ではなく10年後の世界に向けての変化です。例えばaiやIoTはもちろん、3Dプリンターなどによるメイカーズムーブメント、医療の進化、もちろんインターネットは進化し続けると思います。例えば、私たちの業界でいうと、僧侶の代わりを務める、お経を読み上げるペッパーくんは、既に存在します。医療の進化は死の意味自体を変えてしまうかもしれませんよね。

その中で存在する団体や企業には、「今までこれでやってきたのだから」、というギャップアプローチは全くナンセンスになる可能性がある。未来を見据え、「どうありたいか」、を考えるというポジティブアプローチで変わっていく必要があるんです。

そう考えると、日本の企業や団体の価値はどこにあるのか。私は、その継続性にあると思うんです。200年、300年続いている企業って、日本中にあるでしょ?そんな国はどこにも無い。それを成し遂げてきたのには、元々仏教的な観点もある。

最澄の言葉に、「道心の中に衣食あり、衣食の中に道心なし」というのがあります。

続いていくことで、社会に貢献し続ける。道を求め続けることが本質であって、その形を変え続けるのは必然だと思うのです。

編集後記

今回のご講演は、メンバーそれぞれが多くの刺激を受けた講演でした。メンバーそれぞれの社業についても、西宮青年会議所という団体についても、10年後・20年ごを見つめ、「道」を考え直し、変わるべきを変えていく。

そんな風にメンバー一人一人の心に火をつけていただいたご講演でした。