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理事長所信

吉住正基2016年度理事長所信

一般社団法人西宮青年会議所

第66代理事長 吉住 正基

2016年度 LOMテーマ・スローガン

「呼び覚ませルーツ
  ~新たなる誇り高きJAYCEEへ~」

はじめに

日本は戦後、国際社会の中で平和国家としての道を歩みながら、経済大国としての地位を確立してきました。私達日本人は、こうした日本の平和や経済的基盤による利益を無意識のうちに享受していますが、国際情勢の不安や貧困問題に接するとき、改めて今日の社会を築いた私達先人に深い敬意と感謝の念を抱かざるを得ません。だからこそ、先人が築いてこられたルーツを呼び覚まし、この豊かな社会をより明るく輝かせていくことが私達の責務なのです。

戦後、日本は復興から高度経済成長を経て世界有数の経済大国へと目覚ましい発展を遂げました。そして現在を生きる私達は、戦前とは比較にならないほど豊かで快適な日常を送ることができています。しかし一方では、道徳心や自尊心の低下に起因すると思われる犯罪や、いじめなどの問題は山積しています。今こそ危機感を持って私達の将来を考え、道徳心と自尊心ある日本の社会を構築していかなければなりません。
まずは現代の日本社会で薄れつつある、私達の先祖が大切にしてきた日本人らしい価値観を紐解く必要があります。日本神話から始まったこの国の成り立ちを礎とした、私達の先祖の精神はどのようなものであったのか。ルーツをたどることで、日本人の気高い誇りと自信を取り戻し、輝く個の一片が互いに拡散反射し無限に華を生み出す万華鏡のように、私達の持つ個々の能力を結集し、西宮に拡散反射させ光り輝く未来を創造していきましょう。

西宮青年会議所のルーツ~躍動するまちへ~

戦後6年目の昭和25年、私達の諸先輩は西宮の復興を目指し全国で5番目に青年会議所の設立を果たし、その翌年には東京、大阪、前橋、函館、名古屋、広島の6青年会議所と共に日本青年会議所を立ち上げました。また兵庫県下の青年会議所が誕生するための礎を築いた実績が、66年目の西宮青年会議所の運動展開する私達にとって大きな誇りとなっています。
西宮市における運動においても目を見張るものがあります。「にしのみや市民祭り」の前身である「緑の祭り」の開催、国際性豊かで優れた宮っ子の育成を目的とした「一般財団法人西宮くすの木会」の設立など、西宮青年会議所は市民意識の向上に向けて、先駆者としての役割を果たし西宮市の発展に大いに寄与してきました。
そのような西宮市は、大規模な商業施設や日本有数の音楽ホールなど魅力的な施設を有する他、阪神間モダニズムに代表される旧甲子園ホテルなど優れた歴史的建築物を有しています。過去より文化や芸術を重んじる土壌が育まれ、そして現在において交通や生活の利便性が高められた西宮市は住宅地としても人気のまちへと成長しているのです。長年にわたり築き上げられた西宮のルーツを知れば、自ずとまちへの愛着心が芽生え、やがては誇りとなり自分が住むまちを大切にしようと感じます。まちを誇りに想う心を原動力として、愛するまちのために、自分がすべきことを模索する主体的な市民へと意識変革できる機会を提供して参りましょう。そして市民が主体的にまちのために行動を起こすことにより、人と人とのネットワークと地域コミュニティーが熟成され、単に心地よいベッドタウンであるだけではなく、人と人の輝きが織りなす躍動感のあるまちへ変貌を遂げるものと信じています。

私達は意識変革団体です。自らの意識を変革するに留まらず、市民の意識をも変えていくムーブメントを巻き起こすことが重要です。そのための情報発信のツールとしてホームページやSNSは今や当たり前の時代です。玉石混淆の情報が溢れるネット社会の中で、単に私達の運動や活動報告を羅列するだけでは、見る側にとって有益とはいえません。市民の意識を変革するための事業に参画していただくために、その目的が明確に伝わり私達の運動が見る側の心に届く情報発信が必要です。また賛同いただける協力者を広く募ることも重要です。幅広い情報受信者がいればそれだけ私達の運動の影響力が増加し更に賛同者を増やすこととなるのです。
その一方で、ネットを重視するために、私達の真のコミュニケーション能力を低下させてはいけません。インターネットとSNSを活用しながらも、ただそれに依存するのではなく、自分自身が西宮青年会議所の広報員としての自覚を持ち、地域の方との交流を深めることにより顔の見える情報発信に繋げて参ります。

数は力なり。地域にインパクトを与える本気の市民意識変革を行うために会員拡大は必須です。地域を想う人間を「一人より二人、二人より三人」へと変えることこそ、青年会議所の基本運動であり、地域を変えるため私達はより大きく強い組織であり続ける必要があるのです。そのためには、会員が修練により自らを高めることで青年会議所に価値を見出し、青年会議所運動の魅力を広く伝播させていくことが重要なのです。
そこで、LOMの会員拡大に取り組むにあたり、これから出会う仲間に私達自身が青年会議所運動に誇りと自信を持って熱く語ることが重要です。そのためには、今一度西宮青年会議所がどのように成長してきたのか、どのように地域と向き合ってきたのか、その結果地域がどう発展してきたのかを学ぶ必要があります。そして会員拡大をより加速させるためには多くの市民との接点を戦略的に構築しなければなりません。各事業において一人でも多くの市民を巻き込みながら、志を共有する中で仲間を増やして参りましょう。
また、新会員の育成は会員拡大以上の熱意をもって取り組むべきものです。とにかく事業と運動に参加してみることで、初めて体験できる世界観がJCには用意されています。LOMメンバー全員が一丸となり全事業参加への水先案内人となり、新会員育成に取り組んで参りましょう。

この国のルーツ

かつて日本が誇った経済力や技術力は新興国の台頭の中で輝きを失いつつあるのかもしれません。その一方、アジア圏からの旅行者が溢れんばかりにまちを賑やかし、その旺盛な購買力と行動力を前に私達は圧倒されます。グローバル化が日を追う毎に加速し、焦燥感が漂う国際情勢の中であるからこそ、経済や技術を語る前に今一度、日本人らしさを見つめ直すべきではないでしょうか。
他を慮る心など日本人らしい精神性は、私達の先人により国内のみならず、国外においても大いに発揮されてきました。しかし世界各地で活躍した称賛に値する日本人の英雄達に私達はあまりにも無関心です。私達の誇れる価値観や精神性に支えられた歴史と人物から多くを学び、日本人としての誇りを携えることがグローバル社会で通用する人財となる一歩なのです。

教育のルーツ

戦後のGHQによる占領政策の中でも極めて重要な役割を果たしたのがウォー・ギルト・インフォメーション・プログラムです。それはそれまで日本人が大切にしてきた伝統文化や歴史、そして精神性をも意図的に抹消すべく計画されたもので、終戦から70年たった今でも世代を跨ぎそのプログラムの影響を引きずっているといわれています。
世界20ケ国の青少年に「親を尊敬するか」と質問したところ「はい」と答えた割合は世界の平均は83%に対して日本では25%※1)でした。更に深刻な問題として挙げられるのは、「自分はダメな人間だ」と思っている割合が他国と比較して日本の高校生は非常に高い※2)のです。この結果に表されるように、日本の高校生が自信を持てず自虐的観念に苛まれるのは、ルーツから生まれる存在意義を失いかけているのが大きな要因だといえます。当然青少年が責められるものではなく、私達大人の教育への取組みを充実させる必要があります。
※1)筑波大学名誉教授 村上和雄 調べ
※2)日本72.5% アメリカ45.1% 韓国35.2%
(国立青少年教育振興機構 調べ)

日本国のルーツ、すなわち建国の成立ちやその記念日を知らない若者が増えているといわれています。日本神話や悠久の歴史を知ることから日本人としての誇りを取り戻すと共に、私達が共通する価値観や歴史観を学ぶことで道徳観や民族としての自尊心が高まり、国際社会の中でも通用する人格形成ができるのです。私達は新たな教育への取組みを運動として発信し、青少年に自信を取り戻し、グローバル社会の中で生き抜かなければならない彼らを、真の誇り高き日本人として育んで参ります。
「12・13歳くらいまでに民族の神話を学ばなかった民族は、例外なく滅んでいる。」(アーノルド・J・トインビー)といわれるように、国が滅ぶのは、必ずしも外圧的な武力のみではありません。私達が私達らしさを忘れた時、この国は凋落に向かうのです。

平和のルーツ

私達は平和を願い、日本が今の日本国の形であり続けたいと強く願います。その一方、南シナ海域において、中国による海洋進出は加速し止まる気配を見せません。尖閣諸島においても、依然として大きな脅威にさらされ続けています。2015年9月に可決された安全保障関連法案は賛否両論、大きな議論を巻き起こしました。今後は与党が推進する憲法の改正法案が衆参両議院を通過すれば、国民による投票に諮られることとなります。正に私達、国民一人ひとりが当事者としての自覚を持つことが必要となるのです。
そして私達がしっかりと心に刻んでおくべきことがあります。約70年前のこと。硫黄島やペリリュー島などでは壮絶な戦いが行われ、本土爆撃と本土上陸を阻止すべく多くの犠牲が払われることとなりました。愛する日本、愛する家族を守るべく離島を死守した先人、遺骨収集も十分に進まず、未だ故郷に帰れない戦没者が多くあることの上に、いまの日本国の形があり私達が平和を享受していることを忘れてはなりません。戦後70年が経ち、戦争を経験した世代の方々が年々少なくなり、生の声を聴く機会と残された時間は限られています。先人の魂が忘れ去られることのないよう次世代に引き継いでいくのが私達責任世代の責務です。今この瞬間にも世界各地では内戦や紛争で苦しむ人々が多くいます。今私達が平和であるからこそ、危機感を持って平和について真剣に考えなければなりません。

存在意義のルーツ

私達は日々、どれほど自分自身の存在を尊いと実感しているでしょうか。また、自分自身の存在意義を感じるのはどんな時でしょうか。それは、人に必要とされ人の役に立ったと感じる時だといえます。自分自身が社会の中で役割を担うことは、自分自身の居場所の確認であり存在意義のルーツそのものなのです。JC、仕事、家庭、場所や状況に関わらず日常の些細なことであっても、人を必要とし必要とされる役割を持つ積み重ねが信頼関係を築き真の友好関係へと発展します。そのためにも、常に感謝の気持ちを忘れてはなりません。特に日頃JC活動を支援し支えてくれる家族には、会を挙げて感謝の意を表して参りましょう。

結びに

仕事を頑張ること、家族家庭を支えることは社会人として至極当然です。私達はそれに加えJAYCEEである選択をしました。私達はこの道を選んだ地域をリードする青年経済人であるからこそ、地域と地域の未来のために、自身の枠から力強く一歩外へ踏み出さなくてはなりません。
会社と家族を持ち多忙な日々を過ごしている私達は、JCに入会しない選択肢もあったかも知れません。会社が忙しい時にはJCに行かない口実ができますし、JCが忙しい時には家庭を顧みない口実にすることもできます。しかし不思議なもので、決まって会社の忙しい時期にJCの大きな担いに直面するものです。理由を並べて断ることは誰にでもできますが、そこで踏ん張るのがJAYCEEであり、JCの修練の真骨頂です。ここでの修練こそが、個々の成長を約束する他では決して得られない機会なのです。
修練を乗り越えポジティブな思考になった時、身の周りで少しずつ変化が起こるはずです。そしてこれはJC、仕事、家庭いずれにおいても共通することだと確信しています。なぜなら、人が物事に向き合う姿勢はJCも仕事も家庭も皆同じであるからです。
JCに時間を取られる。しかしその捧げる時間は紛れもなく自らの時間でしかなく、その自らの時間をどんな状況であれどんな気持ちで使うのかは、私達自身に委ねられています。激動の時代、日々起こる小さな出来事から、予想もできないことまで私達の周りで起こる一つひとつの状況を、積極的に真摯に向き合っていくことが青年経済人としての使命なのです。

本年度のテーマ・スローガンは「呼び覚ませルーツ~新たなる誇り高きJAYCEEへ~」としました。皆、各々にかけがえのない独自のルーツを持っており、そのルーツがこの世で唯一無二のあなたを創り今ここに存在しています。
「あなたのルーツは?」こう尋ねられると戸惑うかもしれません。それは過去を手繰りよせることできっと見えてくるはずです。また先祖の歴史を学び先人や親の努力や想いを知ることで、今を懸命に生きる意義を感じられるのではないでしょうか。ルーツを知ることは生かされていることと生きる意義を知ることであり、ルーツを知ることで今を生きる価値を高め、誇り高きものとすることができるのです。そして青年期を生きる私達が誇りを持って率先して行動することが失敗であれ成功であれ、次代の明るい未来へと紡ぐルーツとなるのです。
西宮青年会議所のルーツとして65年の歴史を尊重することはいうまでもありませんが、それは過去の模倣と同義ではありません。ルーツから新たな価値観を見出して、それに基づき新しいものを生み出すことが重要なのです。今までにない新たなチャレンジをすることは苦労を伴いますが、それは私達青年の使命であり、明るい豊かな社会の実現に繋がるものと確信しています。
一度限りの人生です。私達が私達らしく誇りを持ち、一片ひとひらが拡散反射する万華鏡のように反射し合い、新たなる誇り高きJAYCEEへと昇華しましょう。すべては光り輝く西宮のために。